ドローン海外情報 溝部 公憲

【JDAメールマガジン第051号 2021年7月06日掲載】

[ 悪天候でもへっちゃらVTOL ]

今日は以前のメルマガでも紹介した、VTOL(垂直離着陸機)に関してのドローンの情報です。

アメリカのAerovel社は、ワシントン大学のAutonomous Flight System Laboratoryと共同で、小型のドローンである「Flexrotor」という名前のドローンを開発しました。

ドローンを飛ばしている人はわかりますが、大きな課題の一つは風ですよね。特に離着陸時に影響を与える強風の問題に対する解決策に、どこの会社も時間を割いています。

Flexrotorのホバリングは、ヘリコプター用語で『トランスレーショナル・リフト・レジーム』と呼ばれる、空力負荷だけでなく、制御効果が相対的な風によって敏感に変化する状態を秒速で計算させ、荒れた空気の中で求められる堅牢性を実現するために、通常とは異なる自動操縦の設計でこの領域を処理させたようです。

詳しいことは極秘なので公開されていませんが、これだけ聞いても普通の人には難しくてよくわかりません(笑)。独創的な技術の進歩で、どんな天候でも安全に安定して飛ぶドローンがどんどん出てくることは間違いないでしょう。

実はAerovel社は、ワシントンのコロンビア川近くにあるBingenという所にあるんですが、ここが風が強い地域なのだそうです。それだけに強風の実験には適しているんですね。やはり開発・実験するには、環境を選ぶことが大事なことだというのがわかります。

さてこのVTOLですが、大体翼幅3m、重量24~25kg(ペイロードにより異なる)くらいで、折りたたんで専用の箱に入れれば、大人なら持ち運べる代物です。

使用用途としては軍事目的で、陸海空での情報収集、監視、目標捕捉、偵察に使われます。昼間だけでなく夜間の飛行も可能で、現在ではかなり厳しい気象条件の下でも飛行できるようになっているそうです。

まあ考えてみれば、現存する軍用機はほぼどんな天候でも飛ぶわけだから、それを無人にして遠隔操作又は自動操縦できるようにすればいいので、コスト面を考えなければ技術的にはそんなに難しいことではないのかもしれません。

とにかく悪天候の中を飛ばしている現場を、実際の目で見たいものです。

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