JDAドローンExperiment 飯沼 純一
【JDAメールマガジン第80号 2022年2月16日掲載】
日本ドローン協会(以下JDA)理事の飯沼純一です。
今回は、救急ドローンの今後をお伝えしたいと思います。
少し古い情報ですが昨年、米国商務省の国立標準技術研究所(NIST)が、「2021 PSCR First Responder UAS Endurance Challenge」の入賞者を発表しました。
4.5キログラムのペイロードを搭載して可能な限り長く飛行することを目標に、機体を設計、製造、飛行させました。
結果は、米国の垂直離着陸機メーカーAdvanced Aircraft Companyが112分の飛行時間を達成し、優勝を収めました。NISTの公共安全通信研究部門は、ドローンの飛行時間を延ばすとともに、公共安全に従事する人々がより効率的かつ柔軟に使用できる方法を模索している。という事です。
すでに世界では、ドローン+救命救急という概念が根強く広まっておりますが、残念ながら日本ではまだまだ先になりそうですね。
実際に救急現場で活躍した一例を紹介します。
ドローンによる各種サービスを手がけるスウェーデンのEverdroneは、自動体外式除細動器 (AED) をドローンで緊急搬送した結果、心停止した人の救命に貢献できたと発表しました。
自律飛行するドローンが心停止患者の命を救ったのは、これが世界初だそうです。
この事例は、ドローンを使ったEverdroneの救急サービス「Emergency Medical Aerial Delivery(EMADE)」によるもの。2021年12月9日、スウェーデンのトロルヘッタンにある自宅で雪かき中に倒れて心停止状態に陥った71歳男性のもとへ、AEDをドローンで届けました。
倒れている男性を発見したのは、近くの病院へ出勤途中だったある医師。同医師は脈拍がないことを確認すると、すぐ心肺蘇生法(CPR)を開始し、周囲の人に救急通報するよう依頼した。すると、通報から3分強で救急隊よりも先にドローンが到着し、AEDを使えたという。最終的に、男性は病院へ搬送され、一命をとりとめたとの事です。
Everdroneによると、病院以外の場所で心停止(OHCA)を起こす人の数は、欧州で年間27万5000人、米国で35万人います。そして、心停止した場合、生存率は1分ごとに7%から10%低下していきます。OHCAを起こした人の約7割はAEDのない自宅などで倒れるため、救急車の到着に時間がかかるといった要因で、最終的な生存率は10%程度にとどまるというのです。
Everdroneはこの状況を改善するため、EMADEを開始してます。
2020年6月から9月の4カ月間実施したところ、ドローンが救急車の到着前にAEDを届けられたケースは64%ありました。
これから日本も同じようにドローンがAEDを届ける時代になるかもですね!
今回もご覧頂きましてありがとうございました~(^^♪