空中写真測量 柳原 雅俊

【JDAドローンマガジン 2022年8月31日掲載】

JDA北海道の帯広より柳原です。

本日は無人航空機[UAV]を用いた測量についてお話を行いたいと思います。
近年、技術革新が進みより高機能、高性能な無人航空機が普及したことで「UAV測量」という言葉もだいぶ浸透してきたのではないかと感じます。

そもそも改めて測量とはどういうものか。家屋などの構造物や地形、高さなどを正確に測る作業で図や表などで視覚化する重要な作業です。
様々な建物や河川や道路などのインフラ整備を進めるためには、正確な状況の把握が必要であり正確でかつ高い精度が求めれられます。

そこで、UAV測量はi-Constructionと呼ばれる新基準を基に建設土木の業界における革命的な取り組みとして注目を集めるようになりました。
現在はUAV測量と言ったら複数の回転翼による「ドローン」の活用を思い浮かべる方が多いかと思います。別途、航空機型。小型の飛行機の形をしたプロペラの回転ではなく主翼によるものもありますが、今回は一般的に思い浮かべるマルチコプター型としてお話を行って参ります。

【UAV測量 利点】
最大ポイントとしては従来測量と比較し、測定やデータ収集の所要時間と費用の大幅な抑制があげられます。地上でトータルステーションやGNSS測量器を用いる従来方法と比べるとコスト面においては負担だった点の解消が可能。

また、詳細な3次元的な地形データも取得可能なため土木構造物建設の効率化を図ることも可能。これは特に現場規模が拡大するほど、進捗管理としての取り組みにおいてはデジタルデータの活用として効率化にとどまらず、工期を短縮する手段としても大きな期待と利点としてあげられます。

【UAV測量 欠点】
大きく考えられる点として3つをあげます。

1つ目は「連続撮影時間の制限」現在バッテリーの大容量化や推力構造の改善により長時間飛行が可能となってきましたが、それでも30~40分の飛行時間のため、現場広さや必要とされる測量成果に応じた飛行を行うには離着陸や中断地点への移動など状況により生産性への影響が大きくなる事があります。

2つ目は「空撮設定の構築」です。ただ一言、ドローンで空撮と言っても測量を行う現場環境や求められる成果物精度の実現には設定内容を適切に行い必要があり、操縦者は空中写真測量について高い理解が求められ、大雑把な設定では測量としての成立しない恐れが出てきてしまいます。

そして、3つ目は「地表面の構築」があり、空中から地形や地上の状況に左右されず効率よく空撮を行うことができるため手法としては非常に便利ですが、あくまでも写っている対象物からしか測量としての処理を行うことができません。そのため、多くの植生や構造物などの密集や影、また静止画像として写らない地表などは把握することができず測量を行うことができません。

以上の様に、空中写真測量は作業時間や費用における大きな負担に対して大きなプラスの効果をもたらす測量手法ではありますが、「どのような場所でも誰でも簡単に測量飛行が可能」という訳ではありません。運用にあたっては従来の測量とは異なる新たな測量手法として、手順や設定などを学び理解していく必要があります。しかしながら、UAV測量の利点は欠点におけるマイナス点を補ってなおプラスの効果をもたらすため、今後もより一層普及していくものと考えられます。

次回以降も空中写真測量の基礎基本からより実践的なテーマを掲げてご案内をして参りたいと思っておりますので、お付き合いください。