空中写真測量 柳原 雅俊

【JDAドローンマガジン 2022年9月28日掲載】

JDA北海道の帯広より柳原です。

本日は無人航空機[UAV]を用いた測量における手法として用いられる「GNSS」測位についてお話をして参ります。

「GNSS」とはGlobal Navigation Satellite Systemの頭文字を取った略称で、【全球測位衛星システム】と日本語で表現が行われ、全体的な仕組としての表現となるGNSSよりも日本においてはGNSSというシステム内でのアメリカが運用している【GPS】という名称が日本国内では認知・普及しております。

GNSSの詳細な仕組のご紹介としては、1980年代に航空機・船舶などの航法を支援するためのものとしてアメリカが開発を始めました。
地球の上空約2万kmを周回する衛星から発信される電波を受信し、衛星からの距離を計算し自分の位置を割り出します。

では無人航空機におけるGNSSを用いた測位について書いて参りますが以前、[空中写真測量]をテーマにご案内した際に視差というメカニズムを利用し、位置情報を活用することで3次元的な情報を処理を行うとご紹介しました。

GNSSを用いた測位方法は大きく【単独測位】と【相対測位】の2種類に分けられます。
現在多く普及している測位手法としては【単独測位】で、1台の無人航空機に搭載されたGNSSセンサーが受信した衛星電波を基に位置情報を測位します。

しかしながら理論上では4機以上の衛星からの電波を受信することで距離を求めることができますが、大気や建物、時間の計測など様々な要因から誤差が生じてしまい「精度」はどうしても落ちてしまうため、精度を確保する為に「対空標識」と呼ばれる目印・標識を用いて誤差を補正します。
対して【相対測位】は2台以上のGNSS受信機でそれぞれ測位処理を行い、受信機間の時間差を測定し2点間の相対的な位置関係を求めることで位置誤差を抑えることが可能となり、一般的に単独測位では精度誤差が数m~数十m。相対測位では数cm誤差の測位精度での処理が可能と言われております。

測量業においては[民間測量]と[公共測量]に分けられ、より高い精度が求められるのは公共測量ではありますが、単独測位と相対測位どちらでも適切に運用することで求められる要求精度にしっかり対応することは可能ですが、導入のしやすさでは【単独測位】としての運用の方が取り組みを始めやすいので最初はおススメいたします。

今後も無人航空機を利用した測量業務のご参考になる情報を発信いたしますので、これからもお付き合いください。