地域の特性を生かしたドローンの普及拡大に向けて 宮田 敏美

【JDAドローンマガジン 2022年11月2日掲載】

無人航空従事者の免許制度(国家資格)の開始について(シリーズ初回稿)

JDA北海道の根室より宮田です。

1 はじめに

今回は、令和4年12月5日から開始されます無人航空従事者の飛行免許制度(国家資格)を目前に控えて、現時点までに国交省航空局から示されている資料を基に私たちが理解すべき項目についてお伝えして行きたいと思います。

2 飛行免許制度

 (1)  免許区分

飛行免許は、一等資格免許と二等資格免許に区分されます。

ア 一等資格免許については、人口集中地区でも自動操縦などによって目視外飛行となる場合に、飛行コース上の第三者の立入り禁止措置を取れない場面2で必ず必要な資格となります。そして、これはレベル4の飛行を行う上でも必要となります。

イ 二等資格免許については、人口集中地区などで飛ばす場合には、不特定多数の第三者の立ち入りを禁止する安全措置を講じなければなりません。

それは、ドローンの墜落によって発生する人畜等への被害を防止するために補助者の配置、立ち入り禁止看板、ロープによる規制線の設定など必要な措置を講じることを意味します。つまり、一等資格と二等資格の大きな違いはレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)での飛行区分となります。

 (2)  飛行レベル区分

飛行出来る空域・形態によって、

ア レベル1:目視内での手動操縦飛行

イ レベル2:目視内での自動・自立飛行

ウ レベル3:無人地帯における(補助者なし)目視外飛行

エ レベル4:有人地帯における(補助者なし)目視外飛行

※ レベル3までは現在の航空法でも飛行が可能になっています。

の4つのレベル分けがなされています。

将来的に市街地への輸送や宅配を可能にするため、有人地帯における(補助者なし)目視外飛行をレベル4に設定しております。

 (3)  免許更新制度の設定

 免許資格は、自動車免許と同様に免許更新制度が示されており、国家資格の講習内容や試験内容について明らかになりました。

 (4)  試験内容

試験内容は、学科試験、実地試験と身体検査の3項目です。

受験内容は、既に国土交通省登録管理団体のドローンスクールで認定証等を保有者している経験者は、学科や実地試験が一部免除されます。

ア 二等資格の場合、

初心者:座学講習10時間以上・実地講習10時間以上 合計 20時間以上

経験者:座学講習4時間以上・実地講習2時間以上 合計6時間以上

シミュレーター訓練も含めて初心者と経験者(認定証等取得者)では受講数に大きな差が生じます。これからも登録管理団体の民間ドローンスクールで資格を取得してから国家資格を受験する形が一般的で現実味があります。民間ドローンスクールとは、航空局のHPに登載されたドローンスクールが該当します。

つまり、車の運転免許と同様で公安委員会指定の自動車教習所で学科、技能を習得して運転免許試験場で本試験を受ける形です。

イ 学科試験、実地試験の概要

○ 学科試験

試験方式~コンピューターを使った三肢択一式(一等:70問 二等:50問)

試験時間~一等:75分程度 二等:30分程度

試験科目~航空法及び関係法令、構造・飛行原理等の基礎知識、操縦者の行動規範、運航及び安全管理体制の確保要領等

○ 実地試験(試験科目)

机上試験~飛行計画の作成(フライトプラン)

口述試験~飛行前の機体点検、飛行空域及びその周辺の安全確認と点検

○ 実技試験

一等資格~高度変化を伴うスクエア飛行、ピルエットホバリング、緊急着陸を伴う8の字飛行

二等資格~スクエア飛行、8の字飛行、異常事態における飛行技能

ウ 口述試験

飛行後点検、飛行後の記録等

エ 口述試験

ドローンの飛行に伴う事故や重大インシデント発生時の説明ですが、変更になることもご承知して下さい。

次回に続きます。