未来のドローンパイロット育成に向けて 伊藤 磨辰

【JDAドローンマガジン 2023年3月8日掲載】

JDA北海道 オホーツクの伊藤でございます。

今回は多少お恥ずかしいお話となります。私達はドローンの操縦を教え、機体を販売・整備し、または撮影といった基本ワンストップで対応できる事業を展開しております。2月までは農業用ライセンス講習に明け暮れておりましたが、当然その合間にも「撮影」の仕事も入って参ります。今回お受けした撮影はとある山の撮影です。林業系の企業様からのオファーでおよそ100ヘクタール撮影し、針葉樹・広葉樹等確認するといった内容です。各種申請を確認し、現地に向かいいざ撮影!

見るも無残な・・・

当然フライト前の事前チェックを行った上でフライト開始、高度20m上空で急遽モーター2個がロック、スタッフの操作介入もうまく行かず墜落。現場スタッフ・依頼者様含め怪我もなく、機体の損壊のみで済みましたので安堵しております。

当社も様々な撮影を行っておりますが、急遽モーターがロックして墜落した事など今まで経験したことが無かった為、驚きました。私達が実施している民間ライセンス講習の座学で「ドローンは墜落するものと考えて運用する事」といった内容を教えております。安全マージンをしっかりと意識した上でフライトしたからこそ負傷者が出る事はありませんでしたが、教えている私達がどこか「墜落しない」といった慢心もあったのではと反省しております。

ただ、こういった経験が次のフライトに対する安全対策に活かすことができます。機体を販売していく上で、こういったリスクがある事を経験者が話すことが「リアル」であると私は思っております。現場スタッフから連絡があり、写真を見たときに「怪我はないか?」と一言のみ確認。機体が壊れた事に対して怒る事など致しません。私もこの事業を一人で立ち上げた際、室内練習中何度機体を落としたことか・・・落としたくて落とす者等誰もおりません。

今回は幸いにも国土交通省への報告事案には該当しておりませんが、一つ間違えば大惨事だったかもしれません。未来のドローンパイロットを育成する立場だからこそ、様々な経験を積み、教えていく事がドローンでの事故を未然に防ぐことができる可能性を高める事ができます。墜落は無いに越したことはありませんが、事故・怪我がないのであればむしろ一度くらいは経験しておいた方が良いと思っております。ただ・・事業の責任者の立場としては「高い機体だよな・・・」と会社にどうやって稟議書を上げるか頭を抱える今日この頃です。皆様気を付けてフライトライフをお楽しみ下さい。