未来のドローンパイロット育成に向けて 伊藤 磨辰

【JDAドローンマガジン 2023年5月10日掲載】

JDA北海道 オホーツクの伊藤でございます。

つい先日北海道内にある泊原発付近でドローンを飛行させ逮捕者が出たというニュースがありました。内容としては国交省への機体登録をしていない機体を飛ばした。との事でしたが、小型無人機等飛行禁止法にも抵触しておりますので、フライトを細かく見ていくと抵触する法律は多いと感じております。いずれにしましても、大事には至らなかった為良かったですが、一歩間違えば日本国内でドローン愛好家が全くフライトできない法律が施行されてもおかしくない(一等や二等免許保持者は可といった制限が課せられる可能性)と思います。そんな事件もあった中私としても苦慮する案件がありました。「未来のドローンパイロット育成に向けて。」とタイトル付けしておりますので、私としてはコンプライアンスを意識して頂ける方へスクール入校や講習等実施しております。間違っても法律を守らない等言語道断です。

ドローンを飛行させるには「適性があると認められる者」とあり、前のコラムでも記載しておりますが、これを初見で判断するのは正直難しいです。それでも講習を進め生徒と雑談をしていく中で、個人の感性やその個人を取り巻く環境等徐々に見えてくる事もあります。またライセンスを取得する方と管理・責任者が違う場合もあり、講習を受けた方はコンプライアンスを重視しても、管理者・責任者が違う場合はコンプライアンスを重視しない発言もあったりと、受講者のみならず、それを取り巻く環境まで見ていく必要も感じております。

何度も記載しておりますが販売してしまった後は運用者のモラルに委ねられます。運用者と責任者の上下関係の立場であれば、コンプライアンスを重視したい運行者と効率を重視したい責任者との意見の相違が出てくる可能性もあります。当社が排出しているオペレーターは農業・空撮系含め300名を超えておりますが、当然私が不安を感じる方はおりませんでした。

しかし、これからは排出したオペレーターがコンプライアンスを意識しフライトするケースが増え、一般の方達の目に触れる機会も多くなり、機体購入やライセンス取得の波が大きくなるのは感じております。その中で一定数「やってはいけない事」を平然と口外してしまう方達が出てきてしまうのは流れとしては仕方が無い所だとは思いますが、こういった方達に対し私たちは断固たる決意をもって対応しなければなりません。時には販売をお断りする事も出てきます。目先の利益よりも私たちを信用して入校して頂いた方達を裏切る事は出来ない事がこの事業を行う上で最も大切なことだと思っております。フライトは個人の利便性を高める一方で周囲に対する配慮も決して怠ってはいけません。この両輪をしっかりと守れる方を見定め、安全・安心なドローンライフをお届けする事が私達の使命だと思っております。

少し重たい話になりましたが、今後ライセンス取得や機体購入をされる方達の頭の片隅に私の話が残ってくれたら幸いです。

話は変わりますが、近日水中ドローンの潜航デモを外洋で実施して参ります。オホーツクの荒波の中でも漁師様が納得できる潜航ができるのか?定置網の状況確認といった内容です。スクール運営の為の操縦には慣れておりますが外洋となれば話は別です。経験値としては少ない為、無理のない潜航を心がけ、最悪潮の流れが厳しい状況であれば潜航を取りやめる等、水中の分野でも自分たちの技量と状況判断で「実施できない・しない」決断も視野に入れて潜航して参ります。結果はまた別の機会でご報告させて頂きます。

明日潜航予定当社在籍のFIFISH V6 EXPERT主任の動作チェック写真です。