国家資格実地試験にチャレンジ(その3) 宮田 敏美

【JDAドローンマガジン 2024年8月28日掲載】

皆様こんにちは。JDA北海道ブロック 根室より宮田です。

1 はじめに

皆様こんにちは。二等無人航空機操縦士試験第3回目の解説です。第1回目は実地試験で行われる机上試験、口述試験(口述・飛行前点検)、実技試験、口述試験(飛行後点検)、口述試験(重大インシデント)の概要について解説し、第2回目では、実際にドローンを飛行させる実技試験の内容について解説しました。第3回目の今回は、二等試験(基本)の各科目の内容に入って残りを解説します。試験内容は、国土交通省航空局安全部無人航空機安全課から発出されている二等無人航空機操縦士実地試験実施細則と実施基準に基づきます。

2 机上試験

机上試験は、主に飛行計画(フライトプラン)等に関する問題です。指定された飛行ルートと空域環境の中で、どの様な目線で問題意識を持って確認すべきなのか。具体的には、特定飛行に該当する場合に必要となる飛行許可や飛行に用いる機体の諸元と現地の飛行環境等で留意すべきことを求められます。問題数4問、解答時間5分です。4択から解答を導き出すものですが、良く読んだら「これだ!」と比較的容易に分かる問題です。

3 口述試験

 (1)  口述

審査員からこれから実技試験を行う飛行空域や天候、風速等に問題は無いか。受験者の体調等について口頭で質問されます。受験者は、飛行の安全を確保するためにチェックが必要な事項を簡潔明瞭に口頭で回答します。

 (2) 飛行前点検

航空法で求められる点検内容を手渡された点検表に基づいて、点検項目に従ってチェックし、異常の有無を口頭で回答します。このとき、モニターや操作方法等で分からないことがあれば、審査員に質問して確認して下さい。点検作業は、作動前点検と作動点検を実施した後に、機体を離陸させ約1.5メートル地点でホバリング状態から自動制御系統(スティック操作どおりに機体が作動するか~エルロン、ラダー等の動作)のチェックを行って着陸します。その後点検した項目を点検表「日常点検記録簿」に記録します。

4 実技試験

実技試験は、目視内でスクエア飛行、8の字飛行、異常事態発生時の飛行の順で行います。(詳細は、前回参照)

5 口述試験

(1)  飛行後点検

飛行前点検と同様に各項目をチェックして飛行記録を記入します。飛行後は、飛行後点検結果にも記入します。

 (2) 事故、重大インシデントの報告と対応に係る審査

審査員から事故、重大インシデントに関して口頭で質問されますので、受験者は必要事項を全て口頭で回答します。しっかり覚えて下さい。

6 おわりに

以上が二等無人航空機操縦士の実地試験の内容です。受検される皆様方へのアドバイスですが、前回と重複しますが、審査員求めているのは、実地試験実施細則に定める操縦技術はもちろんのことながら、離陸前や飛行全般を通じて必要な安全確認が十分に行われて、【簡潔明瞭】に報告が成されることがとても重要になります。十分に落ち着きながら元気な声で申告し、両スティックを力み過ぎずにきちんと保持して慎重にゆっくり飛行させることが合格への栄冠に繋がると思います。また、あくまで私見ですが、実地試験を伴う他の国家資格の場合にも共通することですが、【自分の知識、技能を見せる】事もオーバーアクションとして必要なのかなと思います。例えば、

  • 飛行前後の点検では、どの部分を点検しているのか、きちんと指で触れ

て示して、目で直視し「モーター異常なし」と申告しましょう。

  •  審査員から課題が示された場合は、「はい、○○を実施します!」と元気に復唱してから動作を開始しましょう。理解できなかった場合は、「もう一度お願いします」と再確認しましょう。
  •   実技試験では、皆さんスピードが早すぎる傾向があります。制限時間は結構長いものです。一定のスピードでゆっくり飛行します。目的上空では、区切りよくキチッと停止、方向転換も同様です。メリハリです。
  •   8の字飛行では、特にスピードの出し過ぎに注意しましょう。スピードが早いと僅かなスティック操作の誤差が大きなルート逸脱を招いてしまい、軌道修正が難しくなります。また、私の場合は、機体の向きが左右・対面時になったときには、パニックに陥らないように、頭の中で

「もっとゆっくり・ゆっくり・右・右・前・前・左・左」

と自分に言い聞かせながらスティック操作をしております。

  •  最後に、プロポは両手で正しく持つことが基本です。また、両スティックも正しく保持します。途中で片手を離したり、スティックから指を離す、スティックを指で弾く様な操縦方法は厳禁です。ついつい癖が出てしまいますので、普段から意識して正しく操縦する訓練を身に付けることが大切です。今回は以上となります。

今回の画像は、4機の目視外飛行で後方ロックオン勝負の空中戦の模様です。遊び心満載の訓練です。これがとても楽しくて上達するのです(笑)