前回の実証実験のご報告 武岡禄基
【JDAドローンマガジン 2024年10月9日掲載】
まいど!!JDA大阪のRockyです。
前回、千代田区でのドローン自立飛行に関する記事をお届けしましたが、今回はその実証実験の報告をさせていただきます。今回の実験では、千代田副区長などの行政関係者を多数お招きし、事前にx.y.z(緯度、経度、ASL)の設定を正確に測量した上で、アプリにデータを入力し、自立飛行を行いました。
実験結果
結論から言えば、成功率は70%でした。ですが、秋葉原周辺の違法無線や現場近くのドローン教室から発せられる電波障害、さらには太陽フレアの影響により、座標のズレが大きく発生しました。このため、当初計画していた飛行ルートではなく、現地での大幅な調整が必要になりましたが、修正を加えることで最終的には飛行を成功させることができました。また、ドローンだけでなく、インカム(無線通話機器)にも電波障害の影響が見られ、音声の途切れや干渉も確認されました。
今回の実験では、RFスキャナーを使って電波帯域をスキャンしたところ、5.7GHz帯に比較的多くの空きがあることがわかりました。これに基づき、次回の実証実験では5.7GHz帯を活用して飛行させることを検討しています。
DID地区(人口集中地区)と過疎地域では、GNSS(衛星測位システム)の取得難易度や座標のズレ方が異なることもわかりました。特にDID地区では精密度を高めるため、日本では実証例の少ない都市部での実験が今後さらに重要となるでしょう。
今回の実証実験で得た学びは多岐にわたりますが、最も強く感じたのは、技術の向上はもちろん、パイロットの飛行技術が非常に重要だという点です。座標のズレによってドローンが予期せぬ方向へ移動する場合、壁面への衝突を避けるための危険予知や迅速な飛行停止、さらに軌道修正を行う技術が不可欠です。これは、経験豊富なパイロットでなければ対応が難しく、ただ資格を取得するだけでは不十分で、実際に業務に就くためには高度な技術と経験が要求されます。
結局のところ、資格を取っただけでは安心できず、現場での実績を積むこと、そして飛行技術を磨き続けることが、プロフェッショナルとしての条件だと再認識しました。今後も技術向上に努め、次回の実証実験に向けてさらなる準備を進めてまいります。