未来を語る ~未来の狩猟の世界~ 久保 正樹
【JDAドローンマガジン 2025年5月14日掲載】
皆さんこんにちは。日本ドローン協会 和歌山事業所のMonkey こと久保です。
未来を語るテーマで色々な職業を紹介していこうと思ってみたのですが、前回のAIがつくる未来の中では、結局いずれの職業も承認だけになってしまう流れになるので今回はあえて近い未来について語っていこうと思います。
私は、第一種銃猟とわな猟の免許を所持し狩猟も行っています。まだまだ新米ではありますが一応、和歌山県猟友会青年部幹事という役もさせていただいております。
ということで今回のテーマは、未来の狩猟の世界です。
現在の狩猟では、一に犬、二に足、三鉄砲といわれるように、犬が獲物を抑え込み人が獲物を撃つもの、犬と勢子が獲物を追いたて、タツマ(撃ち待ち)が撃つもの、ひたすら獲物を待つもの、単独で忍びで行うものなどさまざまなスタイルがあります。
現在、獲物の追い出しに犬の代わりにドローンを活用(または犬とドローンの併用)しているグループもあります。
ハンティングドローンと呼ばれ、スピーカーによる犬の鳴き声と駆逐用煙火が発射できるようになっており、山の上空から獲物を脅して一斉に逃げ出したところを連続して配置されたタツマ(撃ち待ち)が狙撃するという流れで行われます。
また、見切り(獲物がどこにいるかを見る)でも赤外線カメラを積んだドローンにより、獲物の体温を感知し寝屋(獲物が寝ている場所)の特定に使っているところもあります。
ただ、赤外線カメラ搭載のドローンでの見切りには、はげ山のような山では使用できるが杉などの木々がお生い茂る山では獲物が見えないなども問題もあり、山の状態など地域的な向き不向きはある状態だと言えます。
災害時に活用するような軍事用赤外線カメラであれば木々がお生い茂った山々でも獲物を発見することができるかもしれませんが、コスト的な問題もあります。
一旦、話はかわりますが狩猟や有害鳥獣駆除においては、道具も色々なものを揃えたいという欲求にかられるものです。
私も何でも揃えているわけではないですが、揃えたいものをまとめてみました。
もちろん、なくても問題ないものもありますが、私の理想も含め、狩猟に関するものもあわせて描いております。
イラストをご覧ください。

~未来のお話~
コストも抑えられた高性能の赤外線カメラ搭載ドローンが現れると木々のお生い茂る山でも活用できるようになります。
狩猟や有害駆除の中で一番大変なことは獲物を山奥で捕った時の解体所までの引き出し作業があります。
この部分も貨物の運搬にドローンがどんどん活用され、200㎏の重さでも引き上げることができるレンチのついた運搬用ドローンなどがでてくれば、獲物を運ぶ手段として使えるのではないかと思います。
~運搬の流れ~
獲物を捕獲→位置をドローンに共有→自動運転で捕獲位置まで飛行→レンチによってフックが地上まで降りてくる→フックに獲物を掛け、レンチを上げる→ドローンが獲物を指定場所まで運ぶ。
そうなれば、赤外線カメラ搭載ドローンによる見切り、ドローンから獲物を狙撃(これはもう軍事兵器なので日本で許可されることはないでしょうが・・・)、大型貨物運搬ドローンによる獲物の回収が可能になります。
もうここまでくれば猟師は山に入る必要がない世界です。
もちろん前回の話のようにAIがここに加われば、人間は家の中で承認作業だけをすることになります。
その頃には小型のドローンが複数飛び交いながら山を散策し、イノシシやシカの生態数を完全に把握し、前述のドローンたちが増えすぎた種の個体を駆除していく世界になるでしょう。
未来のドローンのイラストがこちらです。

ただ承認作業だけをするだけで、AIがすべてを管理してくれるなんのストレスのない世界なんてものは実現しないと私は思います。
ということで、そういったストレスのない世界は来ないとしても、災害はやってくる未来を仮定して次回のテーマは
未来を語る ~未来に起こりうる災害と備えについて~
というテーマでお話ししたいと思います。