地域の特性を生かしたドローンの普及拡大に向けて 宮田 敏美

【JDAドローンマガジン 2023年7月5日掲載】

読者の皆様、こんにちは、JDA北海道の根室より宮田です。

ドローンの国家試験免許制度がスタートして約半年が立ちましたね。
これまでも、国の色々な○○制度がスタートした直後は、生まれたての子鹿の様にとても不安定で、幾つもの問題点が出て修正されるものです。
ドローンの国家試験制度も、学科試験機関の申込がスムーズに行かなかったり、実技試験で求められるATTI モード飛行を可能にする練習機体が販売市場に乏しくて入手困難であったり、そもそも国家試験の認定申請を進める講習団体が修了審査基準に合致する機体の入手が極めて困難になっているなど問題は多岐にわたっております。

ドローンが黎明期から脱却して成長期に進展した大きな要因は、障害物回避センサー等で安定飛行が出来るドローンの高性能化にありますよね。各種センサーが高性能になったおかげで初めてドローンに触れる方でも、自動でホバリングが出来るのですから、戸惑いながらも墜落させること無く飛ばすことが出来ますよね。

しかし、実際には気象条件や電波障害等でGPS が途切れたりすることがあって、いきなり不安定な状態に陥ったドローンを操縦者が巧みな操縦技術で安全な飛行、着陸を果たすことが求められるんです。「ドローンは、飛行するのは簡単、しかし自在に操縦することが難しい!」と言われる所以ですね。国家試験修了審査用の基準を満たす機体は、ATTI モードとoverride(オーバーライド)が出来ることと航空局から示されておりますので、このことを簡単に説明します。

ATTI とは、「姿勢」を意味しており、ATTI モードは「GPS などの位置補正による水平方向の安定化をOFF にする機能」です。先程のように、何らかな事象でGPS が切れて位置補正が効かずにいきなりホバリングが不安定な状態になる事です。この様な場合の実際の操縦では、まず「スロットル」で高度を維持しつつ両スティックで「エレベーター」、「エルロン」、「ラダー」をとても繊細なタッチで操縦を行い機体を安定させることが求められます。モード1とモード2では、スティック操作が異なりますが、何れのモードでも、常にスロットルで高度を維持しながら別のスティック操作を同時に併用して行わなければなりませんので、未経験者の方には操縦は困難になります。車で表現しますと、オートマ限定の運転手がいきなりマニュアル車の運転が出来ないことと同じです。

国家試験を受験するには、ATTI モードでの操縦技術をマスターしなければなりません。現段階では、一般ユーザーの皆様方が訓練用の目的だけに市場に乏しく高額なドローンを購入することは現実味に欠けます。航空局のHP に登録されているドローンスクールで国家試験コースまで受講することが一番の近道ですが、受講料金にはスクールによって数倍もの大きな格差があります。ネット上でしっかりと登録団体で受講料の安価なスクールを調べて利用することも方法です。

現在、DJIMavic3Classic でATTI モードが可能となるソフトウエアバージョンアップモデルの販売が始まりますが、動作保証されるプロポはRC-PRO 送信機だけですので購入に際しては十分な確認が必要かなと思います。override(オーバーライド)、ダブルプロポ等の意味合いは、受験者が操縦不能に陥
った場合に危険な状態を回避するために、試験官が保持しているもう1台のプロポで操縦に介入することです。自動車教習所で教習車の助手席に補助ブレーキが付いているのと同様で、受講者の皆様方の操縦には直接的な影響は無いと思いますが、もし介入されれば、実技試験がストップされて不合格になると思います。

今回の写真な、2 台の送信機でオーバーライド接続したものです。