航空豆知識とドローン 林 賢太

【JDAドローンマガジン 2023年11月1日掲載】

皆様こんにちは。JDA東京のCO-PI(コーパイ)です。

今回の「航空豆知識とドローン」は、前回出題した問題の解説をしていきます。固定翼ドローンの「速度」「飛行距離」「対気速度」「対地速度」については、前回のメルマガもご参照ください。

問題1.「対気速度25m/sで40分間飛行可能な固定翼ドローンがあります。このドローンを使って片道55㎞の二地点間を飛行させる場合、無風時において上空旋回待機可能な時間を求めてください。」

この問題は「無風時」ですので、「対気速度」=「対地速度」になります。ですから、55km ÷ 25m/s = 2200秒となり、36分40秒で目的地に到着します。問題文中に「40分間飛行可能」と記載があるので、「3分20秒」上空で旋回待機可能という答えになります。

続いて、問題2.「このドローンを使って片道55㎞の二地点間を飛行させる場合の、風速制限を求めてください。」の解説をしていきます。

先ほどの問題で「3分20秒は旋回待機可能」という答えになりましたので、向かい風を受け、もう少し遅い対地速度になっても良さそうな感じがするのをイメージできるかと思います。つまりこの問題は、どのくらいの対地速度で飛べば40分間で55km到達できるかを求める必要があります。「速度=距離÷時間」ですので、55km ÷ 40分 ÷ 60 ≒ 22.92m/s (単位を秒速に変換しています。)となり、「対地速度」=「対気速度」+「風速」なので、25m/s - 22.92m/s = 2.08m/sとなります。対気速度よりも対地速度が遅いので、「向かい風2.08m/s」が今回の条件での風速制限になります。

固定翼ドローンを使った物流実証や長距離飛行では、この2つの問題のようにどの程度の安全マージンがあるのかを事前に計算しておく必要があります。固定翼ドローンのことをもっと知りたい、飛ばしてみたいと興味を持って頂けると嬉しいです。