地域の特性を生かしたドローンの普及拡大に向けて 宮田 敏美
【JDAドローンマガジン 2023年12月6日掲載】
皆様こんにちは。JDA北海道ブロック 根室より宮田です。
既に全国で約4千人の皆様が一等、二等の国家資格を取得されており、また、多くの方が現在も取得のために頑張っておられることと思います。
今回は、2023年11月17日に国の規制改革推進会議の作業部会で、山間地など無人地帯でのドローン利用の規制緩和案を示したカテゴリー「レベル3.5」の新設やDIPS2.0システムの改修、機体認証の取得時間短縮の最新情報の「概要」を紹介します。これまでに示された飛行カテゴリーレベル3と4の間に「レベル3.5」を新設するもので、事実上の緩和措置が講じられたものです。
主に物流に携わる企業が対象の様ですが、その内容は、現状のレベル3飛行では、「国家ライセンスの有無に関わらず、ドローンの墜落、緊急着陸時に人身事故等が発生しないように、飛行コースエリアに人が立ち入らないように必要な補助者の配置や立ち入り禁止看板を設置」する必要がありました。ドローンを運用する上で、安全に対する配慮はとても大切ですが、広い飛行コースエリアで立ち入りを管理する事は現実的に難しい問題であり、レベル3飛行による物流部門の運用を促進する弊害にもなっておりました。
具体的には、これまでのレベル3は鉄道の軌道敷地内や道路上、船舶の航路上等、人が立ち入る可能性があるエリアを飛行させる場合は、補助者の配置や案内板の設置が必要でしたが、新設された内容では、一定条件下で補助員の配置を不要にして道路上や鉄道上の飛行条件を容易にして、空の物流等の進展と迅速化を図る事が目的のようです。許可条件は、
- 操縦ライセンスの取得
- ドローンに搭載するカメラで飛行下に人を確認した場合は迂回する。
- ドローン保険(損害賠償)への加入
であり、これまでと同様に飛行時の安全は図りつつも補助員の配置や禁止看板の設置にかかる費用と時間の削減に繋がるものと期待されております。
次に、DIPS2.0の改修ですが、これまでの飛行許可を受けるまでにかかる期間の10日前を1日で完了することを目指すとされております。
また、メーカーから新発売された機種の許可、承認申請時に前提となる機体認証もメーカー側の耐久性試験実験データーを参考にして短縮されるようです。
各カテゴリーが示され、実際に運用を開始してみると、規制ルールが現場の実態に沿ぐわないことやDIPS2.0での飛行許可・承認申請の困難さ、新機種が発売されてからの申請対象となる機体認証までの長期化など、皆様方も個人的に思うことは多々あったことと思いますが、新しい法改正や実施要領の策定は、実際にスタートしてから運用実態に応じて微調整されるのですね。
今後共、検証されて、現場の建設的な意見が素早くテーブルに上がって、ドローンの活用が後押しされる様なより良い改革が行われていくことに期待したいと思います。