二等無人航空機操縦士の「実地試験」を合格するために 宮田 敏美

【JDAドローンマガジン 2024年5月1日掲載】

皆様こんにちは。JDA北海道ブロック 根室より宮田です。

1 はじめに

全国で多くの皆様が国家資格を取得されるために頑張っておられることと思います。私は、今年から二等無人航空機操縦士講習団体として、多くの受験生に接して来ましたが、実地試験をクリアされるための課題が数多く有ることを感じました。以前に国家試験の概要と実地試験受験までの流れを掲載しましたが、今回は二等無人航空機操縦士の「実地試験」を合格するために、口述試験等と実技試験の二回に分けて解説します。

2 実地試験

実地試験は、机上試験、口述試験(飛行前点検)、実技試験、口述試験(飛行後点検)、口述試験(重大インシデント)の5科目に分かれております。実技試験は次回に解説します。採点要領や合否判定基準は、国土交通省航空局安全部無人航空機安全課から発出されている二等無人航空機操縦士実地試験実施細則と実施基準に基づきます。項目ごとに減点が違いますので参考にして下さい。

3 実地試験の要点

(1)  机上試験~試験官から飛行計画案が示されます。飛行計画書を作成する際の留意点等について問題が出題されますが、飛行空域が航空法違反にならないのか、とくに、特定飛行に該当する場合は、事前に必要な国土交通大臣の飛行許可・承認を得ているのかを十分に理解するする必要があります。また、飛行させる機体のスペックが飛行空域の条件に合致しているのかを見極める必要があります。飛行予定コース上に存在しうる、あらゆる障害を想定して、安全に飛行を開始して、安全に着陸するまでのフライトプランが求められます。

(2) 口述試験~飛行前点検の必要な各項目について、チェック項目に基づいて確認します。どの項目をチェックするのか試験官に告げて明確に行いことが求められます。機体点検は、安全飛行にとても重要です。機体の損傷の有無・各種センサーのチェック、設定項目と要領を熟知して下さい。

(3) 実技試験~次回掲載(ボリュームが多いため。)

(4) 口述試験~飛行後点検の必要な項目について、飛行前と同様に実施します。飛行前と飛行後に点検する項目を間違いないように注意して下さい。

(5) 口述試験~事故や重大インシデント発生時の飛行対応について、試験官が口頭で質問します。重大インシデントの定義とは何か。重大インシデントが発生した場合に適切な措置を講じることは極めて重要です。操縦者としてどの様な行動を取るべきなのかをしっかりと勉強しておくことが重要です。車の運転と同じで、人身事故、物損事故を起こしてしまった場合の措置と同様で、直ちに運転を中止して負傷者の救護、危険防止の措置、報告など考えていただければ良いのかと思います

4 採点

持ち点100点からスタートする減点方式で、1等は80点以上、2等は70点以上の持ち点を残すことで合格になります。

5 おわりに

机上試験、口述試験を落として減点してしまえば、実技試験の持ち点が少なくなりクリアすることが厳しくなります。日本海事協会で受検する学科試験の勉強と合わせて、ただいま解説した実地試験の各項目も十分に理解することが合格への道に繋がります。勉強は、教則が基本ですが、教則に書かれている内容を丸暗記するだけでは十分ではありません。その意味合いを掘り下げて理解することが大切と思います。例えば、特定飛行って何かです。一括りに特定飛行って表現されますが、そもそもは平成27年12月に初めて航空法が改正されるに至った元祖ですし、特定飛行の禁止空域と禁止飛行方法を理解する必要があります。そして警察庁の小型無人航空機飛行禁止法との関係を理解する必要があることと同様です。

今回の写真は、冬景色の中を飛行するマトリスの勇姿です。