ドローン海外情報 溝部 公憲
【JDAメールマガジン第028号 2020年12月22日掲載】
先月の終わりに、「省庁が中国製ドローンの排除」という政府方針が発表されたのは記憶に新しいと思います。
各省庁が保有する1000機のドローンを、高いセキュリティー機能を備えた新機種に入れ替える方針を固めたというものです。
このような流れは、航空機の先進国である米国の動きをWatchしていれば、日本は米国に従うので大体の予測はつきます。
そこで最近の米国の動きはどうなっているのかを見てみると、ドナルド・トランプ米大統領の政権が任期最後の数週間で中国との緊張関係を激化させる中、米国は先週、国内トップのチップメーカーSMICや中国のドローンメーカーSZ DJI Technologyを含む数十社の中国企業を貿易ブラックリストに追加したようです。
この動きは、貿易や多くの経済問題をめぐるワシントンと北京の間の長い戦いの一環として、共和党のトランプ氏が自身の対中強硬派のイメージを高めようとする努力の最新のものと見なされています。
Wilbur Ross長官は声明で、”ハイテク監視技術を通じて広範囲な人権侵害 “を可能にしたとされる疑惑で、AGCU Scientech、Kuang-Chi Groupとともに、世界最大のドローン企業であるDJIをリストに追加すると述べています。
Mike Pompeo国務長官は別のリリースで、「米国は、(中国の)企業や機関が米国の商品や技術を悪用して悪質な目的に利用することを防ぐための措置を含め、利用可能なすべての対策を講じる」と付け加えています。
上記に対し、SMICとその他の企業はすぐにはコメントしていませんが、中国の外相でもある王毅国務院議員は、演説の中で、米国の制裁リストが拡大していることを指摘し、ワシントンに対し、中国企業に対する「恣意的な弾圧」をやめるよう求めています。
この状況がバイデンに引き継がれたときに、どうなるのかはわかりませんが、この方向性は変わらないのではないでしょうか。
今のところ日本では各省庁範囲でのことではあって、コンシューマレベルまではおりてきていませんが、セキュリティーという観点からみると将来的には影響はでてくるでしょう。
これを良い機会に、日本の優れたメーカーさんに「Made in Japanのドローン」の生産を頑張って欲しいと願います。