ドローン×農業 日高 雄一郎
【JDAメールマガジン第083号 2022年3月9日掲載】
皆さんこんにちは。JDAアグリフライヤー 認定教官 のJokerこと日高と申します。
今日は空撮用ドローンを用いて行う「センシング」についてお話ししていきます。
農業における「センシング」とは、特殊カメラ搭載ドローンで圃場を空撮し、その画像を分析することで農作物の生育状況や、病害虫の発生箇所をチェックするものです。
これまでは経験則や主観に頼っていたものを可視化したデータをもとに客観で確認します。
かつては人工衛星で行っていましたが天候や精度など多くの問題を抱えていました。
これらの問題を講習でおなじみPhantom4をベースにした「P4 Multispectral」が解決します。
P4 Multispectralは「マルチスペクトルカメラ」という特殊なカメラを搭載、撮影データはNDVI(正規化植生指標)を基準に生育状況を数値化できます。
「植生指標」とは植物による光の反射状況を計算式に落とし込んで植生状況を把握する指標で、その数値をもとに防除や追肥戦略を検討して作物の品質UP+収穫量UPに大きく寄与するのです。
ちょっと掘り下げて、なぜ「光の反射具合」を撮影するのかについても。
植物が光合成を行う際には細胞内の葉緑素が大きく関係しますが、葉緑素は波長400〜700nmの可視光線を吸収する特性を持っています。
マルチスペクトルカメラを使うことで特定波長光の「反射率」を検知し、この反射率をみながら作物の生育状況を判断していくことになりますね。
撮影データから作物の生育状況、食味判断、収穫時期、さらに雑草の多寡、害虫被害、土壌の状態などが測定できますが、驚くべきは「センチ単位」というその高精度。
人工衛星では実現不可能だったことをドローンが実現することができる時代になりました。
さて、難しい話になってきたので今日はここまで。
昨年もJDAのセンシングチームが各地で活躍していましたが、今年も多くの仕事が待っているんじゃないでしょうか。
ドローンを使ったスマート農業、技術も進むほど仕事もどんどん増えていますよ!