空中写真測量 柳原 雅俊
【JDAドローンマガジン 2022年10月26日掲載】
JDA北海道の帯広より柳原です。
本日は無人航空機[UAV]を用いた空中写真測量において求められる精度を達成するために用いる「標定点」についてご案内して参ります。
空中写真測量では得られる位置情報を活用しオルソフォトマップや3次元情報として点群などの成果物として作成を行いますが、作成されたデータがどのくらい正確な位置情報を持っているのかは、前回ご案内したGNSSやRTKといった測位方法によって左右されます。
しかし、測量用途として欠くことのできないのが「精度」であり、データを構築する際に今回ご紹介する「標定点」を用いることで、作成される成果物の精度を高めたり、どのくらいの精度があるのかを確認することが可能となります。
標定点は「対空標識」と呼ぶこともありドローン測量では高高度の上空から広範囲を撮影を行うことになりますが、上空から撮影した静止画から確認することができる場所はどこなのか。この撮影している場所の正確な座標値を確認し、測量するために必要となります。
標定点は使用する目的によっては[検証点]と呼び、三次元点群作成の際に三次元形状復元計算に必要とする水平の位置情報や標高の基準となる点と規定、そして作成された三次元点群の位置情報精度がどのくらい正しいかを確認するために用いります。
標定点自体は市販されており、様々なメーカーからサイズは40~60cm角のものが販売しておりますが、標定点には「模様」があり「★型」「X型」「+型」「○型」などの複数より選択できます。
基本的にはどの模様を選んでいただいても構いませんが、空中写真測量では撮影静止画を処理する3次元形状復元ソフトウェア(SfMソフト)によって処理(自動認識)が行われやすい模様があるため、ご使用するソフトウェアメーカー様に推奨模様の確認を行うことをお勧めいたします。
設置にあたっては測量範囲現地のどこに置いても良いというわけではなく運用基準が設けられており「設置間隔」「設置枚数」「設置場所」「設置個所測位」などには特に注意が必要となり、運用を誤れば適切な測量業務としては成立しなくなってしまいます。
標定点の運用については国土交通省国土地理院より出されている「UAV を用いた公共測量マニュアル(案)」内の作業規程準則として測量業務の数値地形図作成などの工程例や運用基準など詳細な内容が記載されておりますので、今後ドローンを使用して公共測量をご検討の際には公開されている各マニュアル案などの資料ご確認することが、ドローン測量の第一歩となりますのでご参考ください。