空中ドローンと水中ドローンを併用するスマート水産漁業について 宮田 敏美
【JDAドローンマガジン 2025年11月26日掲載】
こんにちは!JDA北海道ブロック 根室より宮田です。
航空法が改正されて10年の節目を迎えます。振り返りますと改正法はその時々の事象に応じて様々な追加条項や変更が行われ、国家資格「技能証明」制度も初の更新時期を迎えます。「無人航空機の飛行の安全に関する教則」も幾多の改訂が行われ、ドローンの飛行は、常に墜落や衝突によって第三者の生命、身体、財産に被害を及ぼす虞がある危険な行為であることが大分浸透されて来たのではないでしょうか。全ての操縦者が「安全は全てに優先する」心構えを持つことは、これからも永遠のテーマでしょう。
さて、ドローンの普及拡大は、人口減少による働き手不足を補うための有効な手段として、日本全国でドローンの運用も含めた様々なスマート事業が促進され、実用化を目指した各種の実証実験も各地で行われております。
今回は、当校(ドローン教習所北海道根室校)が実施しました空中ドローンと水中ドローンを併用したスマート水産漁業事業への利用促進講習会の模様を皆様方にご紹介致します。これは、北海道や根室振興局様が主催したスマート水産漁業促進事業に当校が依頼を受けて水産漁業関係者の皆様方に講演した内容になります。
講演内容は、サケ・マス等の定置網漁にスマート事業として効果的にドローン利用を促進することが出来ないかとの課題に取り組んだものです。自然環境が厳しいオホーツク海での定置網の総延長は数キロにも及びます。当校の提案としては、沖合に設置された定置網の調査、点検作業をこれまでの船上目視や潜水作業で行っていた危険を伴う長時間作業をドローンに転換することです。
○ 空中ドローンを活用して
・時化通過後の定置網全体の空中俯瞰点検やドローン搭載のカメラズームを使用した海面上の浮子と網の設置状況、特に取付部分の緩み等の異常確認が容易に可能。
・定置網の破壊を招く周辺海域の漂流物(木材等)のチェックが容易に可能
○ 水中ドローンを活用して、潜水士が潜水することなく
・海中から海面付近の浮子と網の取付状況確認と海底の錘の固定状況の確認が容易に可能であること。
・海中の定置網全体に綻びや破れが無いかをきめ細かく確認が出来ること。
・トドやオットセイ等の海獣の有無と被害状況の確認が容易に出来ること。
・定置網内の魚の種別、量、型を容易に確認することが出来て、的確な網の引き上げ時期を決定することが出来ること。
○ 各種点検作業のコストの大幅軽減と人手不足の解消が図られること。
○ 漁業従事者の高齢化にも対応することが出来ること。
○ 赤潮被害予測の海水温調査、海水サンプルの採取等も容易に出来ること。
○ 船底やスクリューの定期点検も容易に出来ること。
等、ドローンを活用したスマート水産漁業の導入は、
『危険作業の回避・コスト大幅削減・作業時間の大幅削減』
を可能にするもので、従来の作業を大きく変えるものなのです。定置網漁業は、全国で5,000基以上設置されており、沿岸漁業の中でも重要な位置を占めております。今回の講演は、日本の基幹産業を支えるスマート水産漁業事業を空中・水中ドローンが大きく変えるものとして、参加者の皆様方から大きな期待が寄せられ、これからも需要が増えていくものと思っております。
今回添付する写真は、当校で開催している水中ドローン実技講習で、水中ドローンに取り付けたアームで海中作業訓練を実施している写真です。海中作業も可能になります。



