ドローンでの鹿捜索のお話 伊藤 磨辰

【JDAドローンマガジン 2026年4月1日掲載】

JDA北海道 オホーツク伊藤で御座います。

今回は2月に実施したドローンでの鹿捜索のお話です。

オホーツクエリアは漁業・農業といった一次産業が盛んですが、農業に関しまして鹿による食害が人にもよりますが、年間数百万・北海道全体で見ますと約50億円被害と甚大です。ただ、鹿も生きるのに必死ですので、共存は難しいと私は考えておりますが、共栄という意味では、手立てを考える必要があります。

今回は某エリア内で鹿がどれくらい生息しているのかをドローンで確認できないか?とオファーを頂き、翌3月には北見の猟友会様の鹿捜索ドローン後方支援業務が控えておりましたので、予行演習としてお受けいたしました。使用したドローンはサーマルタイプで、鹿の体温がおよそ39度と人間に近い事もあり、雪原の中なら熱源をとらえるのも夏場から比べますと比較的容易であると理屈では理解できるのですが、果たしてそんなに簡単なのか?も含めた所も検証しております。

撮影エリアは事前に打ち合わせした100ヘクタールを送信機上でフライトミッションを作成し、自動航行させながら一定の温度以上を検知するとアラートがなりますので、そこで停止し、検知した熱源を可視光カメラのズーム機能を使いながら動物の特定を繰り返します。フライトして直ぐに熱源を検知し、鹿を発見しておりますが、終わってみれば思っていたより生息数が少なかったと言っておられました。私達としてもどれくらいの高度でドローンの羽音で逃げてしまうのか?等いろいろ検証させて頂き、学びの多い実正となっております。

こちらのエリアの特性も考慮し具体的な数値は控えますが、思ったより低く、音が聞こえても見上げる位で逃げる様子もなかった事に多少驚きました。このドローンは鹿発見位置をQRコードに変換し、スマホに位置情報を送れる機能があり、情報を受け取った側は迷わず向かえる等メリットも多いです。しかしながら、こういった現場の多くは圏外で、折角の機能も有効活用できず、機能を最大限活かすのであれば、例えばスターリンクといった現地でネット環境を整える必要も感じた所です。ドローンは「見つける」事しかできませんが、それでも有効であると依頼者は言っておられ、お受けしてよかったと思っております。

また今回は別な物も撮影でき、現地の猟友会様へ撮影データをお見せした所「冬眠中の熊の巣穴」である事が分かりザワついたと後日談で伺っております。鹿の検知温が上記ではマイナス1℃となっており、この巣穴は周りがマイナス8度に対し約24℃と高かったことから、念の為撮影し、データをお渡し、後の報告となっております。

撮影機体は高価ではありますが、俯瞰で可視光のみならず別な角度の撮影もでき、より個体を見つけやすい等、メリットも多く、カタログだけでは伝えきれない現場のリアルを伝えていく事も私達の使命だと思っております。未来のドローンパイロット育成に関してはユーザー様だけではなく、私達も同じであると今回学ばせて頂きました。機体はあっても、環境インフラ迄用意するとなると頭が痛くなる今日この頃です。