空中写真測量 柳原 雅俊
【JDAドローンマガジン 2022年8月3日掲載】
JDA北海道ブロック 帯広支部長 柳原です。
前回、[無人航空機での空中写真測量]というテーマをご案内しました。
空中写真測量はじめ、無人航空機を用いて測量業務や建築構造物などの点検用途において、撮影された静止画像から3次元形状の再構築や外壁や橋梁などでのヒビ割れの発見といった目的から、「高画質な画像」「綺麗な写真」といった所謂「高性能なカメラの利用」ということを考えた場合に精度や判読を行うためのポイントとして、通常「画素数」や「解像度」が重要とされますが、今回は少し視点を変えて「センサーサイズ」についてお話を致します。
静止画にて写っている対象物が精細に表現されているか。
距離や面積、体積計測。地物の判読を高い精度で行うためには1画素あたりの実際の寸法値をより小さく表現できるように撮影を行う必要があり、公共測量で地上画素寸法(GSD)を【1ピクセルを1cm相当】で表現・構築することが求められています。
この画素寸法は[撮影高度] × [センサーサイズ] ÷ [焦点距離] によって計算が可能です。
同じ仕様のカメラを利用した場合、単純に撮影高度が上がるほど、計算結果の数値が大きくなり、粗い表現となり、対して小さい数値になるほど、緻密となり精細なデータとして構築できます。
それでは、対象物までの高さ(もしくは距離)を変えずにより精細で緻密なデータ構築するためにはどうしたらよいのか。
その場合は、より大きいセンサーサイズカメラを利用すると良いです。
センサーサイズが大きいと良い理由としては、一般的に「レンズから入ってくる光を多く取り込めるため画質が良くなる」と言われていて、画質に大きく影響を与える部分であることは間違いありません。
(※イメージセンサー自体の性能も関連するため絶対の基準ではありません)
「光を多く取り込むことができる」ということは処理可能な光の範囲が広くなるため、1画素あたりに対して沢山の色情報を得る(処理)ことができ、静止画全体をよりきめ細かく表現が可能となるためセンサーサイズが大きい程、同じ高さ(距離)で撮影した静止画像は高画質で記録でき、より高い高さからの撮影を行っても画質の低下を抑えられ撮影効率を高めることも可能となります。
そのため、点検などでヒビ割れや変色などの劣化具合発見や写真測量、3次元化における精度や精細差を高めるためには、ドローンの撮影解像度や画素数といった仕様項目だけではなく「センサーサイズ」も1つの選定基準として参考にしていただくと幸いです。