地域の特性を生かしたドローンの普及拡大に向けて 宮田 敏美

【JDAドローンマガジン 2023年9月20日掲載】

JDA 根室支部長の宮田です。全国的(9/15 現在)に残暑がまだまだ厳しいですが、私が住む日本最東端に位置する北海道根室市は、とても涼しく過ごしやすいんですよ。

さて、皆様方がドローンを飛ばす目的は、趣味、業務を含めて様々と思いますが、多くの場合は空中撮影も行いますよね。今回は、飛行技術の上達と併せて大切な空中撮影のポイントをお話します。

まず、これまでに自分が撮影した映像データを見ると、何故か単調で迫力が無いと感じたことはありませんか。上手に撮影するためには、飛行技術と同様に空撮技術も上達する必要があります。飛行技術= 空撮技術なんですね。つまり、良い空撮を行うためには、きちんとした飛行技術が伴っていることが前提になるんですね。まず、近年のドローンは飛行性能だけではなくカメラの性能も高度化しました。高度なジンバル機能の他、カメラの解像度はHD からフルHD、4K と進歩して、より高画質でハイクオリティな動画、静止画の撮影が誰でも行えるようになりました。

しかし、普段から何気なく見ているTV、CM 等の映像見ますとドローンで撮影した映像がとても多いことに気が付くことと思います。そして、それらの映像が自分の撮影した映像と見比べますと雲泥の差でプロの映像がとても美しく素晴らしいことが分かると思います。何故、そのクオリティに大きな差があるのでしょうか。

プロの方の素晴らしい映像に少しでも近づくことが出来る幾つかのポイントを紹介しますと、基本になるのは、撮影に必要な飛行方法をマスターすることからです。被写体をレンズの中央に納めながら撮影することが基本ですので、一つ目は、カメラレンズを被写体の中心点から逸らさないで、円を描くように3 6 0 度旋回するノーズインサークル飛行です。エルロン、ラダー等を繊細なスティック操作で右旋回、左旋回をなめらかで綺麗に操縦できるように繰り返し練習を行いましょう。二つ目としては、進行方向に機首を向けた8 の字旋回飛行です。これも、自転車のハンドル操作と同様にプロポのスティック操作も無意識に行える様になるまで練習を行いましょう。この二つの飛行操作をマスターして初めて撮影スイッチの操作も余裕をもって行える様になります。上達は練習量に比例します。

次に撮影に関してですが、
○ 太陽の逆光に注意しつつ、カメラの可動域を変えて色々な角度から「アングル」や「ポジション」を意識して撮影してみましょう。
○ ズーム機能を試してみましょう。光学ズームと電子ズームの画像の荒さを確認し、どの程度のズームまでが映像としての限度なのかを理解しましょう。
○ 接近と遠去の撮影構図を試してみましょう。被写体を遠くから接近しつつ撮影する場合と予め接近(離陸)してから後退して遠去しつつ撮影する場合を比較してみましょう。その際に角度を付けた接近と遠去です。斜め下に角度を付けて前進接近や斜め上に角度を付けて離陸後退遠去で映像に迫力が出てきます。

その他に、被写体がワンポイントの目標ではなく、一定の範囲を撮影する場合は、機首を被写体方向に向けたままの横移動飛行が必要ですし、また、カメラを真下に向けたまま機体の高度を変えたり、ホバリング状態からカメラのズーム機能を活用して俯瞰撮影も試してみましょう。また、急旋回、急降下、急上昇等の操作で映像がどの様に変化するのかも楽しみです。

最初に戻りますが、私たちが普段から何気なく見ているTV、CM 等のドローン映像を新たに撮影者になった目線で見直しますと、【この様な撮影方法があるのか! 】と全く違った映像が見えてくるはずです。これが迫力ある撮影につながり、自己満足ではなく他人に見せることの出来る映像に変わっていくと思います。プロの撮影技術を真似しましょう。真似は立派な才能です。では、頑張ってくださいね。

今回の写真は、8月に地元で行われた防災フェスティバルに空中・水中ドローンのブースを出展した際のもので、大人からお子様から多くの方々にドローンに触れて操縦を体験して頂きました。