航空豆知識とドローン 林 賢太

【JDAドローンマガジン 2022年10月9日掲載】

皆様こんにちは。JDA東京のCO-PI(コーパイ)です。

今回の航空豆知識とドローンは、ドローンと航空機の「速度」についてご紹介したいと思います。速度とは、物体が単位時間に移動する距離のことで、例えば1秒間で1m移動する場合は1m/sと表すことは皆さんもご存じかと思います。この普段何気なく使っている「速度」ですが、空を飛ぶものは「対地速度」と「対気速度」という2種類の速度が存在します。

「対地速度」とは地面に対する速度のことで、車や自転車、ジョギングする人など地上で移動する全てのものの速度は、対地速度になります。いま車の速度計に100km/hと表示されていて一定の速度で進んでいるとします。するとこの車は1時間後には、「地図上で100km移動することになる」、これが対地速度です。

一方で「対気速度」とは空気に対する速度のことで、飛行機やヘリコプター、ドローンなど大気中を移動する全てのものの速度は、対気速度になります。いま飛行機の速度計に100km/hと表示されていて一定の速度で進んでいるとします。するとこの飛行機は1時間後には、地図上で100km移動することになる…「とは限らない」、これが対気速度です。あれ、さっきの対地速度とは何が違うのでしょうか??

それは「風」が影響しているからです。

例えば追い風が10km/h吹いている場合、地面に対しては100km/h + 10km/h となり、1時間後には110km移動することになります。反対に向かい風が10km/h吹いている場合、地面に対しては100km/h – 10km/hとなり、1時間後には90kmしか移動出来ないことになります。これが「対地速度」と「対気速度」の違いです。
※詳細はこちらのリンクをご参照ください。https://note.com/trimch/n/n54e79d5261d3

では、ドローンに置き換えて考えてみましょう。DJI製のドローンではATTIモードで飛行させた場合、風がある日は何も操作しなくても風に流されて行きますよね。これが、対気速度と対地速度の関係です。この場合、対気速度は「ゼロ」で、対地速度は「風速と等しい」となるわけです。普段何気なく使っている「速度」という言葉ですが、地面を離れた途端、二種類の速度があることが理解できたかと思います。レース用のドローンや模型飛行機、ラジコンヘリに馴染みのある方にとっては簡単でしたね(^^;)